2007年09月29日
 ■  モンゴルプロジェクト2007~連載第一回~

「空、草原、ヤクの乳」 —第1回—

担当;奥井(業務;記録)


 8月12日、僕はロンドンから成田に向かう飛行機の中にいた。世界ジャンボリーでの3週間を振り返り、これからのことを考えていた。およそ12時間のフライトの後、日本に帰国した。24時間後にはまた機上の人となる身としては、帰国というよりも、少し眺めのトランジットである。成田空港からのリムジンバスの中、この先2週間また生活をともにする、本派遣のゼネラルサポーターである陰山と、3週間ぶりの日本の風景を横目に眺めていた。


 これまでこの準備期間に何度か徹夜を経験したが、この日の徹夜ほど命に関わると感じた夜はなかった。僕は、湿度の高い日本の夜を、窓を閉めエアコンをかけることにより遮断し、作業の協力者として、プログラム担当サブリーダーである勝田を自宅に呼び、実施要項の編集にとりかかった。刻一刻と時間は過ぎていく中、一向に終わりの見えない編集作業。野外で過ごしてきた目にはMacintoshのモニタは眩し過ぎた。幸いなことに時差ボケのおかげで睡魔に襲われることはなかったが、長時間の移動による疲労で集中力はいつもの半分以下となり、すっかりデスクワークから遠ざかっていた両の手は満足にキーボードを叩けなかった。空は既に明るくなりつつあった。


 8月13日、家をでる10分前まで、電話越しに印刷の指示をだしていた。ろくな準備もできず、ほぼイギリスから帰ってきたままの荷物で自宅をでた。夏休みで超満員の中央線に大荷物と体をなんとかねじ込み、薄れいく意識の中なんとか西日暮里から京成線に乗り換えた。いったん座ってしまうと意識は完全にどこか遠くに飛んでいき、気づいたときには握りしめていた携帯電話と成田空港までの切符は電車の床の上にあり、あたりはのどかな田園風景に包まれていた。もう一度浅い眠りにつき、目覚めると成田空港であった。


 ぼんやりした意識の中、また成田空港に荷物を預け、先輩方の見送りの中、まるでビデオテープを巻き戻したかのように、3週間前とまったく同じように日本を出国した。


 全日空のエコノミーよりさらに狭苦しいミアットの座席に体を押し込み、揺れる飛行機の中ろくに眠ることもできなかった。いや、むしろこの先のことを考えて多少気持ちが昂っていたのかもしれない。とにかく満足な睡眠をとらないうちに最終着陸態勢に入っていた。


 自分の住んでいる国以外を外国というのならば、モンゴルについて時点ではそこは外国ではなかった。この数日間日本には住んでいなかったので、日本と外国の意識地図はかなり曖昧になっていたのだ。更にアジア系で溢れかえっていたチンギスハーン空港の入国審査の風景がその認識に拍車をかけていた。小一時間の後、夜のモンゴルの空気を吸った。お世辞にも良い空気とは言えなかった。排気ガスと体臭の混ざった臭いで、僕がモンゴルに抱いていた大自然のイメージはまんまと打ち砕かれたのだ。バスに乗り込み、流れていく暗闇の中ぼんやりと集まっていた街灯の光は、近づくにつれ拡散していき、モンゴルの広さを物語っていた。


 これから2週間弱泊まることになるアパートについたときにようやく僕の中の睡魔は顔を出し、頭の中を真っ暗にしていった。

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(徹夜明け、連日の成田空港)


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(チンギスハーン国際空港)

投稿者 waseda-rovers : 2007年09月29日 11:35

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コメント

ちょっと小説っぽい文章で楽しく読みました。
続きも期待しています。

投稿者 soko : 2007年10月01日 17:03

ありがとうございます。
これからもみんなで頑張って書きます!

投稿者 waseda-rovers : 2007年10月04日 01:35

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